エステサロン経営ノウハウ
セルフエステの開業方法と開業資金に準備したい費用の内訳
セルフエステは利用者が自身で美容機器を使い、施術を行うスタイルの店舗です。
スタッフやエステティシャンを意識する必要がなく、気軽に利用できるエステとして注目されています。
ここでは、セルフエステサロンの開業時にかかる初期費用やランニングコストについて解説します。
目次
セルフエステとは?
セルフエステとは、脱毛・痩身・フェイシャル・ホワイトニングが自分で行えるエステサロンです。一人用の個室、または仕切りがついたブースに一人ずつ入って施術を施します。
セルフエステサロンの種類
セルフエステには大きく分けて3つの営業場所に分けられます。
- 自宅型
- マンション型
- テナント型
これらの営業場所ではいずれも「通い放題(定額制)」または「都度利用」、1回きりの「ビジター利用」を料金体系として設定しています。事前予約が必要な店舗・予約不要で通える店舗に分かれており、セルフエステのみ利用できる店舗と、ホットヨガなど他のメニューも組み合わせられる店舗に分かれています。<
セルフエステサロンは通常のエステサロンと同じく、利用時間が決められています。
都度利用の場合、1回あたりの利用に応じて料金がかかります。通い放題は月額制で料金を支払う方法で、利用者が好きな時間帯に来店し、選んだコースやメニューの内容にあわせて美容機器や痩身機器をセルフサービスで使用します。
業務用のマシンや、従来のエステサロンで使われている本格的なマシンが使える店舗もあります。各地に店舗を構える大手のセルフエステから穴場として通える店舗まで、立地や雰囲気はサロンによってさまざまです。
サロンの中には横になるタイプのマシンを備えているところ、プライベートサウナやジムが併設されているケースもみられます。テナント型では複合型温泉施設にセルフエステが入居するなど、通いやすさや料金以外の独自色をもつ店舗も増えてきています。
セルフエステサロンの開業スタイル一覧
セルフエステの開業スタイルは自宅型・マンション型・テナント型の3種類です。一見セルフエステとわからない隠れ家のような店舗もありますが、反対に大手が全国各地に展開しているケースも一般的です。
ここからは、3パターンの営業方法について詳しくみていきましょう。
自宅型サロン
自宅型サロンは、オーナーが自宅兼店舗として開業する営業形態です。セルフエステの数は多くはありませんが、セルフエステが今後さらに注目されれば、自宅型サロンが増えていく可能性があります。
自宅のスペースを使って開業できるため、マンションやテナントの一室を借りるよりも初期費用・運営費用がかからないことが最大のメリットといえるでしょう。
自宅で開業する場合、開業資金は設備機器の導入にかかる費用と内外装の費用がメインになり、相場としては数十万円〜300万円までが目安となります。
マンション型サロン
マンション型サロンは、マンションの一室を借りてセルフエステサロンとして営業する形態です。
マンションといっても小規模から店舗運営に向いた広いサイズまで幅があり、立地条件によっても物件取得費が左右されます。
マンション型サロンは好きな場所や立地条件が選べるほか、テナント型よりも費用を安く抑えることができます。初期費用として物件取得にまとまった費用がかかるほか、内外装にも費用がかかります。
SOHO対応物件であれば物件取得費は家賃と敷金礼金、不動産会社への手数料で数十万円から100万円程度が目安になり、内外装費用と設備機器の導入費用を含めて、100万円〜500万円前後が目安となります。
テナント型サロン
テナント型は、商業ビルや商業施設の中に入居しセルフエステサロンとして開業する形態です。
大手のセルフエステサロンはこのテナント型が一般的です。
テナントに入居する際の費用、従業員を雇い入れて教育を施す費用がかかるほか、内外装や設備機器の導入費用がかかります。開業にかかる費用は600万円前後が目安となります。
セルフエステを開業するメリット
セルフエステを開業すると、次のようなメリットが感じられるでしょう。
【メリット】
- ・未経験でも開業できる
- ・人材育成の必要がない
- ・少人数で経営できて人件費を抑えられる
- ・少額の初期費用で開業できる
- ・収入が安定しやすい
セルフエステの大きなメリットは、未経験の方が少人数でサロン運営を始められることです。セルフエステ開業にはプロのエステティシャンや、専門知識は不要です。操作をするのは利用者なので、受付が1人いればサロンの運営は成り立ちます。人件費はもちろん、さらに人材育成のための費用も抑えられます。
また資金に合わせて美容機器の数やサロンの面積を調整したりと、少額の初期費用でも開業可能です。しかしサブスクリプション方式を採用すれば利用者との契約が結べ、収入は安定しやすくなります。
以上のようにセルフエステ開業には、未経験の方がコストを抑え、安定した収入を得たい場合にメリットが大きい経営方式です。
セルフエステを開業するリスク
セルフエステ開業には、メリットばかりではなく次のようなリスクもあります。
【リスク】
- ・利用者のミスによる身体的トラブル
- ・サブスクリプション方式の認識違いによる金銭トラブル
セルフエステでは利用者の方の操作ミスによる、やけどやケガなどの身体的トラブルが発生しがちです。特にHIFUマシンではリスクが大きく、神経を損傷したりやけどを負ったりなどのトラブルが起きる可能性が高くなります。もちろんその他のマシンでも、やけどや内出血、肌トラブルが起きることも考えられるでしょう。
またサブスクリプション方式の契約に関するトラブルも見逃せません。たとえば「解約に違約金が発生した」「広告を料金が違った」などのことが、クレームやトラブルに発展することもあります。セルフエステは利用者に任せる部分が大きい分、トラブルが発生しやすいリスクがあることを知っておいてください。
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セルフエステサロンの初期費用とランニングコスト
セルフエステサロンを開業する際、大きく分けて「初期費用」と「ランニングコスト」に分けて考える必要があります。
初期費用とは、開業準備〜開業までにかかるすべての費用の総称です。
ランニングコストは、店舗の実際の運営にかかるすべての費用と考えてください。
ランニングコストは、店舗を運営するためにかかる費用です。初期費用と同じ項目もありますが、店舗を運営する段階になると、初期費用とは内容が変化するものもあります。
初期費用
家賃・物件取得費
店舗を構える場所の家賃や敷金礼金、その他不動産会社や管理会社に支払う保証金が物件取得費となります。
内外総費
物件の見た目を仕上げるための内装・外装・備品にかかる費用です。居抜き物件の場合空調やガス・水道などの設備が整っていることもあり、通常よりも安く施工ができる場合があります。
研修費・教育費
店舗管理のためのスタッフを雇う場合は、研修や教育に費用がかかります。エステティシャンとしてのスキルアップや外部から講師を呼ぶ場合にも研修費や教育費がかかります。
設備機器導入費
セルフエステに利用される設備機器の購入やレンタル、メンテナンスにかかる費用です。高性能のマシンほど高額になりますが、メンテナンスの頻度が低く耐久性の高いマシンの場合、メンテナンスにかかる費用を抑えることができます。
▼参考記事:エステサロンが痩身機器をレンタルするメリット・デメリット
消耗品費
備え付けのテーブルやチェア、文房具などの備品類は消耗品として計上します。開業前に揃えておきたいタオル類も消耗品として扱います。
トイレットペーパーやティッシュペーパーのほかに、メイク直しのためのコットンや化粧水、マスク・ビニール手袋・消毒用アルコールなどの衛生アイテムも消耗品となります。
宣伝・広告費
開業を知らせるためのポスター・チラシ・DM(ダイレクトメール)・CMはいずれも宣伝・広告費に含まれます。
フランチャイズの場合、本部が集客方法を指示してくれたり、肩代わりしてもらえる場合もあります。
諸経費
諸経費とは、経費のうち消耗品や宣伝などのカテゴリーに含まれない支出や出費を含みます。
サロンが加入する保険・警備会社への委託料・通信費や水道光熱費・セミナーへ参加する場合は交通費や交際費も該当します。
加盟金・保証金
フランチャイズに加盟する場合、ビジネスがスムーズに軌道に乗るように本部から手厚いサポートが受けられます。
一方で、本部のブランドを利用しサポートを受けるための費用として加盟金がかかります。
また保証金は、売上のうち一定の割合を本部に支払う「ロイヤリティ」が未払いになった場合に、それを担保するためのものとして支払いを行います。金額は数十万円から100万円以上と幅があり、事前に確認のうえで契約を行います。
ランニングコスト
家賃・物件取得費
店舗にかかる家賃や更新費用が含まれます。
初期費用のように敷金や礼金はかかりませんが、火災保険の更新時にも一時的に費用が発生する場合があります。
消耗品費
初期費用と同じく、使うたびに充填が必要になるものが消耗品費となります。
衛生アイテムやタオル・シーツ類、美容機器や痩身機器のカートリッジも消耗品に含まれます。
宣伝・広告費
売上を維持するために継続して広告を出す場合は、チラシや広告の作成、出稿のたびに宣伝・広告費がかかります。
人件費
スタッフに支払う給与や残業代、スキルアップのための研修費はすべて人件費となります。
▼参考記事:エステサロンの開業に必要な資金と具体的な内訳
セルフエステサロン開業時に使える助成金
セルフエステサロンの開業時には、自己資金のほかに国や地方自治体からの助成金を利用することができます。
- 人材開発支援助成金
- 地域雇用開発助成金
- キャリアアップ助成金
- 両立支援等助成金
- 創業助成金
- 業務改善助成金
上記は地域の雇用を生み出したり、スタッフのキャリアアップやキャリア形成を図ったりと、目的に応じて受けられる助成金です。
たとえば職場の待遇改善を行い、スタッフのワーク・ライフ・バランスに配慮する場合は「両立支援等助成金」が支給の対象となります。
助成金は一人以上のスタッフが在籍するサロンが対象となり、交付後に返却(償還)する必要はありません。
支給を受けたあとはそれぞれの助成金の使用目的に応じてそのまま活用できるため、自己資金から持ち出しをせずに、店舗運営にかかる負担を軽くすることができます。
助成金をうまく活用してより良い職場づくりを目指すことも可能です。一例として「キャリアアップ助成金」は、有期雇用者を正規雇用にすることで一人あたり57万円の支給が受けられます(2022年9月時点)。スタッフの労働意欲を向上させられるねらいもある助成金です。
※助成の内容や対象となる資格は毎年見直しと変更が行われていますので、詳細は国や地方自治体の公式ページをご確認ください。
▼参考記事:エステサロンの開業に使える助成金と補助金の違いと活用方法
セルフエステサロン開業で成功するポイント
それでは最後に、セルフエステサロンの開業で成功するために知っておきたいポイントについて見ていきましょう。
【ポイント】
- ・適した媒体を選び集客をしっかりと行うこと
- ・SNSやホームページを活用して認知度拡大をはかること
- ・セールストークとトークスクリプトを構築しておくこと
- ・性能や機能性の高い美容機器を導入すること
セルフエステサロンを開業するなら、まずは集客が欠かせません。適した集客媒体を選び、SNSやホームページも活用しながら宣伝をして認知度拡大をはかりましょう。そして来店してくださった利用者の方に契約してもらえるよう、あらかじめセールストークとトークスクリプトを構築しておくことも大切です。
そしてセルフエステ開業におけるカギとなるのが、性能・機能性の高い美容機器を導入することです。セルフエステでは機器の選定が施術効果のすべてを握ることになるため、使いやすく性能の良いものを選んでください。以上のポイントを意識すれば、きっと成功できるはずです。
サロン開業時の資金調達の際に要チェック
セルフエステ開業時にかかる初期費用やランニングコストについて解説しました。
セルフエステサロンは低価格で開業できる営業形態として注目されていますが、開業の際には初期費用がかかります。助成金を利用して費用を抑えたり、資金調達を念入りに行って思わぬ出費に備えたりと、工夫して店舗運営を行いましょう。
店舗に導入する設備機器の種類に応じてメンテナンス費用が変わることや、フランチャイズの契約内容にも注目しましょう。利用客にとって便利な店舗でもあることはもちろん、安定的に運営が続けられるようにトータルコストも意識することが大切です。
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