エステサロンでハイフの施術は禁止！その理由と対応をチェック

サロンオーナー様の中には、自サロンでハイフの施術を行いたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
ですが、残念ながらエステサロンでハイフの施術を提供することは禁止されており、関連した施術の提供には注意が必要です。

ここでは「なぜ禁止されているの？」「どのような対応が必要か知りたい」といった方のため、おさえておきたいポイントを解説します。
この記事を読むことでエステサロンが取るべき対応やハイフに代わるマシンなどがわかるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。

そもそもハイフとは？

そもそもハイフとは何かというと、高密度焦点式超音波のことをいいます。
正式名称は「High Intensity Focused Ultrasound」であり、略してHIFU（ハイフ）と呼ばれています。

肌には浅い部分から表皮層、真皮層、皮下脂肪層、SMAS層、筋肉層があり、ハイフでは超音波エネルギーを皮下組織・SMAS筋膜に集中させて届けることが可能です。

仕組み

肌の深い部分に熱エネルギーを届けるためといっても、単純に強い熱を照射するだけでは表皮層や真皮層といった部分を火傷しまう可能性があります。
一方、ハイフは表皮層や真皮層部分に強い熱を加えることなく、皮膚の深い部分で熱エネルギーが集中するようになっているのが特徴です。

用途

特に肌のたるみや小じわを改善したいと考えた場合、肌の深い部分にアプローチしなければなりません。
そのため、ハイフはたるみや小じわといった肌トラブルを抱えている方に適した施術です。
他にも、肌質を改善させたり、小顔につながったりするので、さまざまな用途で活用できます。

また、肌を内側から引き締める効果があるため、フェイスラインをスッキリさせたり、二重あごの改善を目指したりすることも可能です。
フェイスラインや二重あごがスッキリすれば小顔効果があるので、顔が大きく見えることに悩んでいる方などからも選ばれています。

メリット

ハイフの大きなメリットは、メスを使わないことです。
メスを使った施術の中には大きな効果が期待できるものがある一方で、傷が残ってしまったり、長いダウンタイムを必要としたりします。
また、メスを使わないものと比較してリスクも大きいことから、ためらってしまう方も多いです。

ハイフは、メスは使わないものの効果が出やすい施術です。
ダウンタイムもほとんどありません。
ダウンタイムが長いと仕事や学校を休んだりする必要がありますが、そういったこともないので、忙しくて仕事を休めない方でも検討しやすいでしょう。

効果が現れるのも早く、施術直後～1カ月以上経ったあたりで効果を実感できようになります。
また、効果が持続する期間も長く、リフトアップ効果は長ければ1年程度継続させることも可能です。

デメリット

一度施術を行えば、何年もその状態を維持できるような施術ではありません。
そのため、効果を継続させたい場合は数カ月～1年に1回程度のペースで繰り返し施術を受ける必要があります。

また、ハイフはその他の美容法と比較しても痛みの強い施術です。
皮膚の薄い部分などは特に痛みを感じやすく、チクチクとハリを刺されるような痛みがあります。
それから、肌に熱エネルギーを照射する施術であることから、赤みやむくみなどが発生してしまうこともあります。
ほとんどの場合は一時的な副作用ではありますが、肌表面にみみず腫れが発生してしまうようなこともあるため、注意が必要です。

他にも、熱エネルギーによって肌が乾燥しやすくなること、首や額のしわ対策には向いていないことなどもデメリットといえるでしょう。
また、副作用の問題があることも確認しておかなければなりません。具体的なリスクに関しては後述します。

ハイフ施術におけるリスク

ハイフは効果が高いのですが、リスクもある施術です。
主なリスクとして、皮膚へのダメージ、深部の組織への影響、施術の均一性に関する問題の3つが挙げられます。

皮膚へのダメージ

確かにハイフでは肌の奥に熱エネルギーを照射できる施術なのですが、高出力や誤った施術により、皮膚にダメージを与えてしまう可能性があります。
実際に多くの被害が報告されている状況です。

軽い赤みが出る程度の方もいれば、ひどい火傷をしてしまうようなリスクもあります。
他の人と比べて肌が弱い方や、過去に皮膚への施術で副作用が出てしまった方などは特に注意しなければなりません。
また、肌とは異なりますが、目の近くを施術したところ、急性白内障につながってしまったような事例も報告されています。

深部の組織への影響

ハイフは、肌の深部に熱を発生させる施術です。
これにより、神経や血管などを損傷してしまうような事故も起こっています。
顔の神経を損傷してしまった場合は、麻痺やしびれなどにつながる可能性もゼロではありません。
後遺症や合併症といったもののリスクも高まることになります。

施術の均一性に関する問題

ハイフの施術を正しく行うためには、マシンを使用するための正しい知識や技術の必要です。
ですが、実際には施術者によって技術力や知識量に差があり、施術の均一性が保たれない問題があります。

例えば、肌が薄い部分と厚い部分では、それぞれ部位に適した出力に調整しなければなりません。
こういった知識などが不足している人が施術を行った場合、火傷などの事故につながりやすくなります。

▶参考記事：業務用ハイフにおける禁忌事項とは？機器の選び方とあわせて解説！ 

エステサロンでのハイフ施術が禁止された理由

現在、ハイフの施術をエステサロンで行うことは禁止されています。
これは、実際にエステサロンでハイフの施術を受けた方から多くの被害が報告されたからです。
施術が禁止されているといっても、以前は施術を行わないように呼びかけられている形でした。

ですが、2024年6月に法整備が進められ、エステサロンなどでハイフを使用した施術を行うことには医師法が適用される形に変更されています。

ハイフによる施術が医療行為に近いため

ハイフによる施術は、医療行為に近いものです。
そのため、医師など、専門的な知識を持つ人以外が取り扱うのは非常に危険といえます。

以前は医療機関で行われる医療ハイフと、それ以外の場所で行われるエステハイフがありました。
エステハイフは医療用のものとは異なり、出力が低い特徴を持ちます。
だからこそ安全性も高いと思っていた方も多いでしょう。
ですが消費者安全調査委員会が行った調査によると、エステサロンなどで使用されている機器の照射実験を行ったところ美容クリニックで使用されている機器と照射能力に違いは見られなかったとのことです。
実際に照射出力の高い機器がエステサロンで使用されていることも確認されています。（※1）
専門的な知識を持った医師でなければ安全に使用できないような高出力のハイフ機器がエステサロンで使用されていたことになるので、いかに危険なことなのかイメージできるでしょう。
施術を行うスタッフの中には、人体の解剖学的な知識を持たない人もいます。
十分なリスクや安全な施術についてよく理解していない人が施術を行ってしまったこともエステサロンによるハイフの事故が多数報告されている理由です。
こういったこともあり、現在は医師免許を持たない人が施術を行うことは禁止されています。
厚生労働省によると、禁止となった理由としてエステサロンなどで行われているハイフの施術で急性白内障や神経麻痺といった被害が相当数報告されていることが挙げられていました。
ハイフの施術には医師法が適用されることになり、仮に行為の停止勧告に従わなかった場合は刑事訴訟法第239条の規定基づく形で告発される可能性があります。（※2）

（※1）参考：（PDF）消費者安全調査委員会：消費者安全法第 23 条第１項の規定に基づく事故等原因調査報告書【概要】−エステサロン等での HIFU（ハイフ）による事故− [PDF]
（※2）参考：（PDF）厚生労働省：医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について[PDF]

ハイフ機器の使用が難しいため

ハイフは、誰にでも簡単に扱えるようなマシンではありません。
ハイフでアプローチ可能な肌の奥部分に向けた施術を行うためには、どの程度の深さに皮下脂肪や筋膜があるのか、どの程度の出力が適しているのかなどを正しく判断する必要があります。
人によって肌の強さは異なるため、一人ひとりに合わせて調整も行わなければなりません。

しかし、実際にはそういった調整は難しく、多くの事故が起きてしまいました。
このような背景があり、エステサロンでのハイフ施術は禁止されています。

エステサロンが今後取るべき対応

エステハイフの施術を提供していたエステサロンの中には、施術が禁止されたことによりメニューの変更を行わなければならないケースもあるでしょう。
そこで、エステサロンが今後どのような対応を取るべきなのか解説していきます。

正しい情報を確認する

まずは、厚生労働省や消費者庁、日本エステティック業協会などが発表している情報を確認しましょう。
2024年6月7日時点で厚生労働省からサロンオーナーに対し、エステティックなどでハイフの施術が禁止されたため提供している場合は即時中止することが要請されています。
また、ハイフ機器の製造販売や輸入販売事業を行っている事業者に対してもエステティックサロンなどでハイフ機器の使用が禁止されたことを受け、即時ハイフ機器の販売禁止および中古機器の購入販売禁止を呼びかけている状況です。（※）
今後新たな情報が出てくる可能性もあるため、最新情報を確認しましょう。
「知らなかったから施術してしまった」では済まされないため、注意が必要です。

施術の見直しを行う

現在エステハイフを使用したメニューを提供しているのであれば、施術の見直しを行っていかなければなりません。
ハイフ機器の使用が禁止されることになったため、今後はハイフを使用したメニューの提供はできません。

もし従うことなく医師免許を持たないスタッフが施術を行ってしまった場合、医師法第17条に違反してしまう恐れがあります。
医師法第17条とは、医師以外が医業を行うことを禁止するものです。
違反した場合は3年以下の懲役もしくは100万以下の罰金、または両方の対象となってしまう可能性があります。（※）
十分に注意しましょう。

（※）参考：厚生労働省：「医行為」について

お客さまへの情報提供を行う

お客様に対する情報提供もエステサロンが行うべきことといえます。
ハイフは非常に効果が高い施術であることから、お客様の中にはエステサロンでの施術が禁止されていることを知らず、施術を希望する方もいるでしょう。
この時、正しい情報提供ができないと不満を感じさせてしまう可能性があります。

どのような理由があり禁止されているのかをわかりやすく伝えるための準備をしておきましょう。
そのためには公共機関や業界団体が発信している情報を常に確認しておくことが求められます。

ハイフに代わるエステマシンはある？

ハイフと同様に高い効果を持ったマシンの導入を検討していきましょう。
代表的なエステマシンを紹介します。

サーマルフラクショナル

サーマルフラクショナルとは、ラジオ波によって熱エネルギーを発生させ、肌内部のコラーゲン生成を促す施術のことをいいます。
サーマルフラクショナルは面状ではなく点状に高周波レーザーを照射するため、肌へのダメージを抑えることが可能です。

フェイシャルケアとして多く活用されており、コラーゲンを増やすことで肌の弾力をアップさせたり、しわやたるみの改善を目指したりすることが可能です。
特に加齢の影響で発生しやすい肌悩みに対応したメニューを作りたいと考えている場合に向いているでしょう。
また、痩身効果もあるので、さまざまなメニュー提案ができます。

蓄熱式超音波

ハイフに代わる新技術である蓄熱式超音波機能を搭載したエステマシンもあります。
これは、ハイフのように小さな点で熱を照射するのではなく、円柱状に照射する仕組みです。
一点に熱エネルギーが集中してしまうことがないため、ハイフで多く発生していた事故リスクを避けることができます。

ハイフは使用できないため注意が必要

いかがだったでしょうか。
エステサロンではハイフの施術が禁止されたことについて解説しました。
その理由や注意すべきポイントなどについてご理解いただけたかと思います。
仮に禁止されている施術を行ってしまった場合は罰せられてしまう可能性があるので、十分注意が必要です。

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